総合スコア:3.98 / 5.0
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| うるおい | ★★★★★(5.00) |
| やさしさ | ★★★★★(4.64) |
| なじみやすさ | ★★★★★(5.00) |
| 成分品質 | ★★★☆☆(3.25) |
| 刺激感への配慮 | ★★★★★(4.73) |
| ハリ・コシ | ★★★☆☆(2.50) |
| ツヤ・質感 | ★★★☆☆(2.50) |
| うるおい保護 | ★★★☆☆(2.50) |
イハダ 薬用ローション(しっとり)は、有効成分アラントインとグリチルリチン酸ジカリウムを配合した医薬部外品の化粧水です。資生堂の敏感肌向けブランド「IHADA」から発売されている製品で、全23成分の処方です。
うるおい5.00・なじみやすさ5.00、やさしさ4.64・刺激感への配慮4.73と、保湿面とやさしさの両方で高スコアを獲得しています。エタノールフリー・香料フリー・着色料フリーという引き算の処方設計に加え、ワセリンを化粧水に配合するという珍しいアプローチが本品の個性です。
※ 本品は医薬部外品です。
【有効成分】アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム 【その他の成分】精製水、1,3-ブチレングリコール、濃グリセリン、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、クエン酸ナトリウム、エリスリトール、クエン酸、メタリン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、L-グルタミン酸ナトリウム、常水、DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、ワセリン、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フェノキシエタノール
本品は医薬部外品のため、有効成分と承認効能を明記します。
| 有効成分 | 承認効能 |
|---|---|
| アラントイン | 肌あれ・あれ性を防ぐ |
| グリチルリチン酸ジカリウム | 肌あれ・あれ性を防ぐ |
有効成分は2種で、いずれも承認効能は「肌あれ・あれ性を防ぐ」です。アラントインは牛の尿膜(アラントイス)から発見されたことが名前の由来で、現在は化学合成品が使用されています。穏やかな成分として知られ、敏感肌向け製品によく採用されます。
グリチルリチン酸ジカリウムは甘草由来の成分です。2つの有効成分がどちらも肌あれ予防を目的としており、敏感肌ブランドとしてのIHADAの製品コンセプトが有効成分の選定にも明確に表れています。
イハダ 薬用ローションの成分表を一つずつ見ていくと、配合順位20番目に「ワセリン」の文字があります。ワセリンといえばバームやクリームの主成分というイメージが強く、化粧水に配合されるのは珍しいケースです。この処方の意図を考察してみましょう。
ワセリンは石油由来の炭化水素の混合物で、皮膚表面に薄い保護膜を形成する成分です。皮膚科領域では古くから保護剤として使用されてきた歴史があり、不純物を高度に除去した「高精製ワセリン」は敏感肌や乳幼児の肌にも使用されるほど刺激が少ないとされています。
資生堂は独自の精製技術で高純度のワセリンを製造しており、IHADAブランドの製品群においてワセリンはキー成分の一つに位置づけられています。IHADAの「薬用バーム」はワセリンが主成分ですが、化粧水にまで配合している点にブランドの一貫した設計思想がうかがえます。
配合順位20番目という位置から、ワセリンの配合量は多くないと推定されます。しかし、少量であっても以下のような役割が考えられます。
水性の化粧水ベースに微量の油性成分(ワセリン)を乳化分散させることで、塗布後に皮膚表面にごく薄い油膜が残ります。この薄い油膜が、化粧水中の水溶性保湿成分(濃グリセリン・BG・DPGなど)の蒸散を穏やかに抑え、うるおいの持続性を高める設計と推定されます。
ワセリンのような油性成分を化粧水中に安定して分散させるには、乳化技術が必要です。本品にはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(配合順位9番目)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル(10番目)、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(11番目)と、複数の乳化・可溶化成分が配合されています。
化粧水でありながらこれだけの乳化系を組んでいるのは、ワセリンをはじめとする油性成分を水性ベース中に安定配合するための処方上の工夫です。「化粧水にワセリンを入れる」という一見シンプルな発想の裏に、安定配合のための処方技術が存在しています。
| 成分名 | 特性 | 備考 |
|---|---|---|
| ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 | 乳化剤 | 配合順位9番目。ヒマシ油由来の非イオン界面活性剤 |
| ピロ亜硫酸ナトリウム | 酸化防止剤 | 配合順位16番目。成分の酸化を防ぐ目的で配合 |
| フェノキシエタノール | 防腐剤 | 配合順位23番目(末尾)で少量と推定 |
本品の刺激感への配慮スコアは4.73と高水準で、敏感肌向けブランドらしい処方です。エタノールフリー・パラベンフリー・香料フリー・着色料フリーと、刺激の原因になりうる成分を徹底的に排除しています。
防腐剤はフェノキシエタノール1種のみで、配合順位は末尾の23番目。少量で防腐力を確保する設計です。ピロ亜硫酸ナトリウムは酸化防止剤として配合されていますが、配合順位16番目で一般的な使用量の範囲と推定されます。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は乳化剤で、ワセリンなどの油性成分を化粧水中に分散させるために必要な成分です。
| 成分名 | 役割 |
|---|---|
| 濃グリセリン | 高濃度のグリセリン。しっとりとした保湿感を持つ基本保湿成分 |
| 1,3-ブチレングリコール | さっぱりとした保湿感を持つ水溶性保湿剤 |
| ジプロピレングリコール | さっぱり系の水溶性保湿剤。べたつきが少ない |
| ポリオキシエチレンメチルグルコシド | グルコース(糖)由来の保湿成分。保水性に優れる |
| エリスリトール | 糖アルコール系保湿成分。さっぱりとした使用感 |
| DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 | 天然保湿因子(NMF)の一つ。角質層に存在する保湿成分 |
| L-グルタミン酸ナトリウム | アミノ酸系の保湿成分。NMFの構成要素 |
| ワセリン | 皮膚表面に保護膜を形成。うるおいの蒸散を穏やかに抑える |
うるおいスコア5.00の根拠となる、層的な保湿設計が本品の強みです。
保湿のベースとなるのは濃グリセリン・BG・DPGの3種の水溶性保湿剤で、これに糖由来のポリオキシエチレンメチルグルコシドとエリスリトールを組み合わせています。さらに、DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液とL-グルタミン酸ナトリウムというNMF系の保湿成分を加え、角質層に本来存在する成分と親和性の高い保湿アプローチをとっています。
そしてワセリンが薄い保護膜を形成することで、水溶性保湿成分のうるおいをとどめる——「水で満たし、膜で守る」というシンプルかつ堅実な保湿設計です。
いずれも同じ有効成分(アラントイン・グリチルリチン酸ジカリウム)を配合した医薬部外品ですが、その他の成分構成が異なります。本記事で解析しているのは「しっとり」タイプです。保湿感やテクスチャーの好みで選ぶのがポイントです。
配合順位20番目と少量のため、バームのような重さはありません。化粧水らしいみずみずしいテクスチャーの中に、ごく薄い保護膜を形成する程度の配合です。「しっとり」という製品名のとおり、保湿感のある使用感ですが、べたつきが残るような重さとは異なります。
ミネラル成分です。カルシウムイオンやマグネシウムイオンは皮膚のバリア機能に関わるとされており、温泉水やミネラルウォーターにも含まれる成分です。配合順位はそれぞれ21番目・22番目と少量ですが、IHADAの処方設計における肌のバリアへの意識が表れた成分選択です。
イハダ 薬用ローション(しっとり)は、アラントインとグリチルリチン酸ジカリウムの2つの有効成分で肌あれを予防しつつ、濃グリセリン・NMF成分・ワセリンで多層的にうるおいを守る、敏感肌向けの医薬部外品化粧水です。
エタノールフリー・香料フリー・着色料フリーの引き算処方でありながら、化粧水にワセリンを配合するという独自のアプローチが光ります。やさしさ4.64・刺激感への配慮4.73という高いスコアが、敏感肌ブランドとしてのIHADAの処方技術を裏付けています。
肌あれが気になる方、刺激の少ない化粧水を探している方にとって、堅実な選択肢となる製品です。
※ 本記事は全成分表示に基づく成分情報の可視化であり、医学的助言や効能効果の保証ではありません。肌の状態には個人差があります。気になる症状がある場合は皮膚科専門医にご相談ください。